環境に配慮する一方、自動車本来のスポーツ性を求める声も高い。この要求にアウディ社の哲学「技術による先進」はどう応えるか。ブースを訪れる来場者の 期待はそこに集まっているように思われた。中央の巨大なスクリーンに映し出される絶えず動く映像は、華麗なモダンダンス・パフォーマンスとともに先進技術と人間性との調和を強く訴え、ルマン24時間耐久レース2年連続優勝の「Audi R8」と、3から8までのSモデルがその前に展開する。アウディの方向性の正しさはその人気の高さが証明している。
AMGはやや控えめに、「C32」と「SLK32」の最新の二台を展示。ポピュラーなクルマをベースにしているだけに、比較的リーズナブルな価格が魅力だ。AMGブランドはメルセデスと並んでファンが多く、むしろノーマル車より熱心に見ている人も多かった。
合理主義一辺倒からデザイン性との高度な融合を果たしたシトロエンが、その成果をBセグメントの「C3」と最新アッパーサルーン「C5」に込めたのが今回のブースである。
「C3」はルーフのほとんど全体を占める電動ガラスサンルーフと広いガラスエリアを持ち、来場者のだれもが見入る見事なデザインだ。
また「C5」に採用された「ハイドラクティブIII」は、独自の油圧制御サスペンションシステムを進化させた先進技術で、展示コーナーでは分かりやすいデモンストレーションが好評だった。
「ここよ」と叫ぶ女性が立ち寄ったのはスマートのブース。実際に乗ってハンドルを握るために来場した人がほとんどだ。右ハンドル仕様やオープン仕様、さらに全幅を45mm切り詰め日本の軽自動車規格に適合させた「スマートK」、いずれも劣らぬ人気である。
毎回、天然素材を数多く利用した立体的なブースで話題になるメルセデス、今年は竹をフロア材に使用しルーミーで温かみのある雰囲気を出していた。メルセデス・ベンツの歴史が映し出される巨大なスクリーン。その前に回転しながらその華麗な姿を誇示するスタディモデル「F400 カービング」の前には大勢の人が集まる。もちろん新型「SL500」もその前に置かれ、2分間隔でメタルトップのデモンストレーションが行われていた。わずか16秒で開閉するメタルトップのデモが始まるたびに、来場者がどよめいていた。
クライスラーグループが展示した「PTクルーザー・コンバーチブル」は、モーターショーの人気によっては間違いなく市販されるだろう。またコンセプトカーとはいえ、ジープブランド誕生60周年を記念して展示されている「ジープ・ウィリス」が、大きな注目を集めていた。米国で流行のリバイバルデザインだが、多くの人々が見とれていた。
2002年FIFAワールドカップのオフィシャルパートナーであるヒュンダイモーターは、日本での本格販売開始に合わせ、エネルギッシュなサッカースタジアムの雰囲気をブースに再現している。しかし前回と同様にフレンドリーな印象は変わらず、来場者は気軽に展示車に乗ったりしていた。
1.3リットルのコンセプトカー「TB」から、全長5m近いミニバン「カーニバル」(参考出品)まで、いずれも向上した品質感が、人々の熱心な反応を呼んでいた。
フェラーリのことなら何でも知りたいという熱烈なファンが何重にも取り囲むフェラーリブース、モダンなスタイルに見とれる人の多いマセラティブース、この区画は熱気が渦巻く。
ポルシェほど、その一台一台に来場者の関心が集まる自動車会社も少ない。「ボクスター」を取り巻く若者達はボディをあらゆる角度から眺め、ハンドルを握るために列をなす。エンジンとリアスポイラー以外はそのまま911ターボという「911カレラ4S」には、走りのための最先端技術への限りない憧憬の目が注がれる。しかし何と言っても来場者の関心の中心は、カレラカップのデカールが印象的な「911GT3カップカー」である。ポルシェファンのあこがれ911GT3をレース用に仕立てた、最新・最高のパフォーマンスの具現を見入る視線は熱かった。
フォルクスワーゲングループ入りしたランボルギーニは、早くも新型の「ムルシエラーゴ」を発表した。美しいボディラインと強力なエンジンとの組合せはスーパーカーの定番だけに、そのスペックを熱心に読む来場者が多かった。