国際モーターショーは、これまでのバーミンガムでの開催から、今回は30年ぶりに会場をロンドンに戻しての開催となりました。それを象徴するように、ショーのビジュアルデザインにはロンドンアイやビッグベンなどロンドンの象徴的なロケーションを背景にしたデザインが採用されています。
新たに会場となったのは“ExCeL(Exhibition Centre London)”。ロンドン市内からは地下鉄と新交通システム(DLR:ゆりかもめ程度の乗車定員、無人運転)で約30〜40分程度と立地的には幕張メッセに似ています。2つのメインホールをはじめとする展示面積は72,000m²と、規模も幕張メッセとほぼ同規模です。
さてショーの概要ですが、会期は一般公開日が7月20日(木)から30日(日)までの11日間。また一般公開日に先立ってプレスデー(7月18日)とトレードデー(7月19日)がそれぞれ1日ずつ設定されています。出品者数は191社でその内、乗用車メーカー(TVR、BRABUSなどカロッツェリア系メーカーもこのカテゴリーに含まれます)は43社。但し、フォルクスワーゲン、アウディ、フィアットといった大手自動車メーカーや、フェラーリやランボルギーニといったメーカーは出品を控えていました。なお、総来場者数は前回比24%アップの411,070人を記録し、当初目標としていた40万人を達成しました。
30年ぶりのロンドン開催に心機一転新たなショーを開催しようとする主催者の意気込みは、くるまを中心に置きながらも一般来場者が一日楽しめるエンターテイメントショーというショーコンセプトのもと行われた様々な来場者向けイベントから感じ取れました。
事前PRのイベントとしてプレスデーの2日前に開催された“100 Years of Cars Parade”は、ショー開催に向け注目度を上げるのに大変効果があったようです。ロンドン市内ピカデリーサーカスからトラファルガー広場までの約1.5キロの道を完全封鎖し、1900年から2000年までのくるま約250台を集めパレード行われました。当日、ピカデリーサーカスでは沿道に見学者が二重三重の人垣を作るほどであり、この様子は翌日のBBCの朝のニュースでも取り上げられていました。
さらにモーターショー会場に目を移すと、4輪駆動車同乗試乗会の“Adventure Land”やカースタントを交えたミュージカル“Motor Theatre”(観客数延べ91,000人)、カーグッズの販売店を一つのエリアに集めた“Shop @ The Motor Show”など来場者参加・体験型のイベントが数多く実施されていました。
一方、各社の展示に目を向けると、乗用車メーカーについては、全体的に大きな仕掛けなどはあまり目立たず、展示車両も販売されている(またはされる)車両が多く、ごく一部の高級車やコンセプトカーがパーテーションで囲われていたりターンテーブル上に展示されたりしていました。そんな中にあって、前回(バーミンガム)は出品していなかったBMWが、屋外ではありますが広大なスペースを確保し“BMW Group Plaza”と称し、BMW・ロールスロイス・miniを集めてブースを展開していたのが非常に目立っていました。また同様にフォードグループ(フォード、マツダ、ジャガーアストンマーチン、ボルボ、ランドローバー)もグループ全体で一つの吊り下げ天井を使用しグループの一体感を演出し、力の入った展示を行っていました。
また日本のメーカーではトヨタ、レクサス、日産、ホンダ、三菱、マツダ、ダイハツが出品。トヨタでは “インテリジェント・パーキング・システム”の紹介を搭載されたプリウスを動かして実演したり、ホンダがF1マシンを分解し、それぞれのパーツをマシンの形状を再現するように天井から紐で吊るし構造を紹介したコーナー(ガラス張りの空間)を設置したりするなど、各社工夫を凝らした展示を行っていました。
30年ぶりにロンドンで開催された英国国際モーターショーは、まずはその第一歩をしるし、さらにバーミンガムでの開催時に減少傾向であった来場者数に歯止めをかけるきっかけとなったようです。 |