シカゴオートショーは1901年に第1回が開催され、第二次大戦中に休催時期があった関係で、今年の開催100回目を迎えた。 米国のオートショーといえば国際自動車工業連合会(OICA)認定の世界5大ショーの一つに挙げられるデトロイトショーが代表的であるが、2006年から米国におけるOICA認定ショーがデトロイト+1(06年 ロサンゼルス、07年 シカゴ、08年 ニューヨークの順に毎年認定)になり、シカゴショーも3年に1度ではあるが認定を受けることとなった。2008年はOICA認定ショーではないが、1月のデトロイトショーの直後に開催される北米最大規模と言われるシカゴショーがどのようなショーであるのか確かめるべくシカゴに向かった。
会場はシカゴ中心地からタクシーで10分程の距離にある『マコーミックプレイス』。主に4つの展示場から構成され展示場総面積が25万u、さらに会議室を173室に3つの映画館、隣接したホテルまで合わせ持つ北米最大規模の展示場である。シカゴオートショーではそのうち北館、南館を使用し、総展示面積12万uで開催された。
ショーの雰囲気は、主催者のシカゴ自動車販売店連盟(CATA)が“a huge consumer show”と言うだけあって、巨大なディーラーショールームのような感じである。出品者数は89社、展示車両は数こそ1,000台以上ではあるがワールドプレミアは9台であり、展示されている車両のほとんどが市販車である。そのせいかブースの作りも、各社とも新車をフロアいっぱいに並べる手法が中心で、二階建てやステージなどの大掛かりな仕掛けや演出を持つブースはほとんど皆無である。
その中でも、印象的だったのは(1)GMグループが占める面積の大きさと(2)クライスラーグループのJeepとDodgeがブース内で4×4の試乗会(同乗形式)を行っていたことだ。
(1)GMグループは前回から約2,000u展示面積を広げたとのことでトータル17,000u以上になり、出品した北館の約2/3以上を占めていた。主催者からは“Their biggest display at any show in the world”というタイトルでリリースが出されたほどであった(南館ではフォードとクライスラーの両グループで4割程度を占めていた)。
(2)クライスラーグループのJeepとDodgeがブース内にコースを設置して4×4試乗会を行っていた。今回はJeepの方に試乗したが、残念ながらDodgeの試乗会はプレスデー期間中運営していなかった。Jeepは路面に木のチップを敷き詰めたオフロードコースを設置し、車の性能を体感してもらうために5つのセクション(Ground Clearance(最低地上高)、Articulation(片輪が浮いた状態での走行)、 Maneuverability(凸凹走行)、 Traction(登坂性能)、 Water Fording(池越走行))を体験する設計となっていた。屋内の自社ブース内に設定されたコースは、日本を含めて海外のショーでも余り例がない。コンパクトな作りではあるが、メインであるヒルクライム(小山)は距離こそ短いものの上り40%、下り45%の急勾配でJeepの持つ登坂性能を実感するとともに、乗っていると目線の動きが天地に大きく振られエンターテイメント感もある内容だった。なお、この時期のシカゴの気候は気温が氷点下で、雪も降り積もるような状態であり、屋外でのイベントは難しい時期でもある。
また、プレスデー2日目の夜に開催されたチャリティ・イベント「ファースト・ルック・フォー・チャリティ」に参加することが出来た。このイベントの入場料が225ドル(23,625円)とかなり高いが、その収益はシカゴの慈善団体(今回は18団体)に寄付されることになっており、毎回2億円以上の寄付金が集められているとのことである。会場の様子は、各社のブースの中にケータリングのスペースが設置され来場者は飲み物や食事を取りながら展示を楽しむことが出来るようになっており、非常に賑わいに溢れていた。さらに来場者にはブラック・タイとドレスコードが設定されており、着飾った来場者は、場内の雰囲気をより一層華やかにしていた。
主催者はデトロイトショーとの違いをこう表現していた。「デトロイトは“サプライヤー”、“メディア”向けショーであり、シカゴは“(巨大な)コンシューマー”向けショーである」
ショーの開催目的が“販売促進”と明確であるシカゴショーは、デトロイトショーとは異なるショーのあり方を提示していた。
|