バンコク国際モーターショーは、1979年にスタートして以来、今年で25周年を迎えました。昨年までは、自動車雑誌等の出版社であるグランプリインターナショナル社(GPI社)が主催していましたが、今年の第25回ショーから、タイ自動車工業会(TAIA)が共同主催者として参加し、また各国の自動車工業団体がメンバーとなっている国際自動車工業連合会(OICA、本部パリ)が認定する国際モーターショーとなりました。アジアでは、OICA認定モーターショーは、東京モーターショー、ソウルモーターショーだけでしたが、3番目に認定を受けました。開会式には、OICAを代表して日本自動車工業会の鈴木副会長がオープニングスピーチをしました。
展示会場は、1998年の第19回ショーから、BITEC (Bangkok International Trade and Exhibition Centre )です。市内からは、交通渋滞の状況次第ですが、タクシーに乗れば30分程度でアクセスできます。公共交通機関である高架鉄道のBTS(Bangkok Mass Transit System)が会場まで延びていないのが難点です。しかし、施設面では、過去2年ほど屋内展示館の面積を増強し、屋内展示スペースは3万3千m²となりました。オーディオ・用品類の展示は仮設テントを使っていますが、横幅25−30m、長さ100m程度、天井高12mはあるクオリティ感の高いものです。それ以外の展示ホールは常設館で、ワンルーフでつながれているので、見学者にとって回りやすいレイアウトとなっています。東京モーターショーが開催される幕張メッセの半分以下の展示面積ですが、出品社数もほぼ半数ですので、日米欧の主要ブランドのほとんどが参加する"まとまり感"のあるモーターショーとなっています。
東京モーターショーをそのまま縮小したような感じで、館内の清掃もこまめに実施しており、清潔感がありました。また、展示ホール内の壁面にそって、木製のベンチが多数設置されており、見学に疲れた来場者の憩いの場所になっていました。会場各所にマッサージコーナーが設置されているのが目立ちました。
今年は、OICA認定モーターショーとなったことにより、これまでになく、出品各社が世界の主要モーターショーで発表したワールドプレミア(世界初の発表)のコンセプトカーを展示するなど、国際モーターショーとしての色彩がより鮮明になってきました。一方、まだ会場でお客様との商談が行われるなどトレードショー的色彩も残っていますが、他のアジアのモーターショーに比べて、国際色豊かなモーターショーと言えるでしょう。
相当な混雑が予想される日曜日の3月28日の状況を視察しました。開場は、午前11時からですが、開場時間前には来場者が各入場口に列をなしていました。開場直前には、入場口前のコンコースには黒山の人だかりとなり、開場と同時に展示ホールに吸い込まれていきます。東京モーターショーと同じような熱気が感じられます。展示ホール内も、開場から1時間半も過ぎると、メイン通路は、人で埋まり通行が困難な状況となってきました。
今年は、11カ国から130社が参加しました。トヨタは、東京モーターショーで話題を集めたコンセプトカー、CS&SとPMが展示の中心、レクサスはLF−5を展示。ホンダは、コンセプトスポーツカーHSCと燃料電池車のFCXが来場者の注目を集めていました。その他の日本メーカーも、東京モーターショーで出品したコンセプトカーをそのまま持ち込むなど展示に力を入れていました。メルセデスベンツも、東京モーターショーに出品したSLXとSLR McLarenなどを展示していました。
昨年や一昨年のショーと比べると、こうしたコンセプトカーやニューモデルの多数の展示もあり、OICA認定ショーとなったバンコクモーターショーへの各出品者の力の入れ方が違うと実感しました。実際会場に入ると、ミニ東京モーターショーのように感じられました。
一方、会場ではタイ自動車工業会(TAIA)が、ASEAN市場統合、ITS、次世代環境技術など多彩なテーマのシンポジウムを主催し、TAIAとしての情報発信に力を入れていました。
特別企画としては、ESSOがスポンサーしている恒例の四輪駆動車によるOff Roadデモンストレーションが、会場敷地に隣接する空き地で開催されていました。また、集客のための仕掛けとしては、クルマやバイクが当たる抽選が人気を博していました。80バーツ(約240円)の入場券を購入するとアンケート用紙が渡され、住所、氏名、年齢、職業、収入、連絡先等を書き込み、ショー内容に関するアンケートに回答し、抽選用のボックスに入れます。景品は、トヨタのWishとVIOS、いすゞのD−MAX、バイクが数台。来場者のほとんどすべてがアンケートに熱心に書き込み、応募していました。
こうしたイベントで来場者にとって切実なのは、食の場所です。会場のBITECには、常設のレストランがVIP用と一般来場者用に2ヶ所あります。一般来場者向けのレストランでは、メニューにより15ものコーナーがあり、タイ料理、中華料理、寿司、Coffee&Pastries、カレー、ベジタリアン、モスリム等に分かれ、バラエティに富んでいます。単価は、40−50バーツ(120円〜150円)、飲み物が10−20バーツ(30円〜60円)。メニューのバリエーションの多さは驚きました。
主催者側も、今回のショーテーマとして、"Gateway to the Future"とし、バンコクをDetroit of Asiaにすべく目標を高く掲げています。今回、タイ自動車工業会(TAIA)が共同主催者として参画し、OICA認定ショーとなったことにより、バンコク国際モーターショーの位置付けが一段と高められたことは間違いないでしょう。 |